尿の色が悪いのは病気? 原因と対策。
毎日必ず出る尿。時々尿の色が違うような気がすることはありませんか?
病院に行けば調べてもらえますが、尿って病院に行って紙コップ渡されたら
すぐ出るってものではないし(健康診断で苦しんだ方はたくさんいるはず)、
自分の汚物を看護師さんに渡すのって、ちょっと恥ずかしいですよね。
でも、放っておいてよいものか、不安なのも確か。何か原因があるのか、調べてみました。
尿ってつまりどういうものなのでしょうか?
当たり前すぎて深く考えていないことが多いと思いますが、尿って何なのでしょう?
尿とは、血液中の水分・不要物・老廃物です。
腎臓で作られ、膀胱へ送られ、尿道から排泄されます。
一人が一生の間に出す尿の平均はなんと35トン。
水槽でいうと縦横5m、深さ1.5mを満タンにするほどの量なのです。
汚いものというイメージがありますが、実は無菌。
血液をろ過してつくられたものなので、腎臓が健康であれば非常にきれいなのだそうです。
成分はほぼ水。タンパク質が代謝してつくられた尿素が2%、
あとは塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、尿酸、アンモニアなど、血清と同じ成分のものが各微量。
臭いがするのは、尿の中の尿素が排泄後に細菌で分解されることで発生するアンモニアのため。
だから、尿が臭うのは当たり前なのです。
黄色い色は胆汁の色です。
血液は脾臓内で分別され、古い赤血球が破壊されます。
古い赤血球を体内に留めておくと、血管を詰まらせる原因になるからです。
破壊された赤血球には再利用できる成分が入っており、
それを除いたものがビリルビンという成分で、これは肝臓に送られて黄色い胆汁になります。
尿はこの色なのです。
一時尿を飲む健康法が流行ったのを覚えている方もいると思いますが、
排泄した直後の尿は無臭・無菌で、しかも水と血清から出来ているものですから、
体に悪いものではありません。
味はしょっぱかったり苦かったりするようですが、その前に食べたものでかなり味は変わるそうです。
健康と美容のため、中国やインドの一部では今でも尿飲が習慣となっているのだとか。
尿の色が濃い原因は?
体液と呼ばれる血液・リンパ液などは、
体を健康に保つための機能(ホメオスタシス)によってpHが一定に保たれています。
尿はその機能によって不要とされたもので出来ているため、飲食したものによってpHが変わります。
体液がpH7.4±0.05という正確さで維持されているのに対し、
不要物である尿はpH4.4~8.0とされています。
pHが変われば色も変わります。
例えば水を多く飲めば殆ど色のない尿ですし、汗をかいた後は水分が不足しているので色が濃くなります。
ビタミンB2を多く摂った時や、下剤のセンナを摂取した時も黄色が濃くなります。
その他糖尿病薬や止血剤、食料品に含まれる色素によっても色は大きく変わります。
ですから、1~2回色が濃くなった程度では特に心配する必要はありません。
朝一番の尿が濃い色なのは寝ている間に汗をかいて水分不足になっているせいですから、
通常であれば水分摂取によって色は薄くなって来ます。
ビタミン剤を常用している人は、成分にB2が含まれているか、調べてみてください。
入っている場合、あるいはセンナ入り下剤を摂取している人は、数日摂取を控えて尿の色を確認しましょう。
色が薄くなるようなら、問題はないと言えます。
尿の色が濃いのは病気の場合がある?
これまであげたように、一時的に色が濃いのは全く問題ないのですが、
持続的だと気になりますね。
もし、尿が濃くなる以外にこんな症状があったら、要注意です。
「発熱 貧血 腹痛 吐き気 嘔吐 黄疸」
腎臓や尿管、膀胱などのどこかで出血があると、尿に混ざって色が濃くなることがあります。
また健康保持に必要な赤血球が破壊されて尿に溶けだしてしまうと尿が濃くなります。
主に考えられる病気として、
「溶血性貧血」「横紋筋融解」「ポルフィリン症」があります。
それぞれ、どんな病気か簡単に説明します。
1、溶血性貧血
血液中の赤血球はいつも同じ量に保たれるようになっています。
大体の寿命は120日とされていて、古くなったものが脾臓に送られるのが正常なのですが、
この寿命が短くなって起きる貧血です。
赤血球の中の黄色い胆汁ビリルビンが尿に多量に溶けだすため、色が濃くなります。
この病気の場合、皮膚や眼球が黄疸症状になることがあります。
2、横紋筋融解
横紋筋と呼ばれる筋肉細胞の一部が死んで、血液中に流れ出る病気です。
過度のアルコール摂取、摂食不良、医薬品の副作用のほか、激しい運動などでも起こります。
手足がしびれたり全身がだるい、筋肉痛などの症状が出ます。
筋肉痛だからと放っておくと、腎臓機能に障害が出る場合があります。
3、ポルフィリン症
赤血球中にはヘモグロビンというタンパク質があり、
これはヘムとグロビンというタンパク質の結合です。
ヘムを作る時に何らかの異常があると、尿が褐色になります。
先天性・骨髄性・晩発性があり、大人になってからの発症はほとんど晩発性皮膚ポルフィリン症です。
原因は肝がん、長期飲酒、肝炎、HIV感染、鉄剤の多量投与などがあります。
日光に反応する光線過敏症となり、長期飲酒の場合皮膚に水泡ができたりします。
色素沈着や色がなくなったり、皮膚の硬化、
側頭部からほほにかけて毛深くなったりすることもあります。
その他、胆石や肝炎が原因で尿が濃くなったり茶色くなる場合があります。
尿の色が濃い対策を紹介
まず症状を確認し、原因に思い当たることがあれば改善しましょう。
横紋筋溶解やポルフィリン症の主な原因は長期飲酒や過度のアルコール摂取ですから、
まずはお酒を控えること。
お酒の飲み過ぎはこれらを引き起こすだけではありません。
中性脂肪の増加から脂肪肝、肝硬変などに移行することは良く知られています。
それ以外に糖尿病、膵臓障害、消化管・循環器系・脳・末端神経障害など、
全身の臓器に障害があらわれます。
また、過度の運動によって横紋筋溶解が起きることがわかっていますから、
特に競技者が本格的なトレーニングを長期おこなう時は、専門のトレーナーをつけるなどしましょう。
横紋筋は腹筋以外のほとんどの筋肉にあり、
この筋肉が壊れてできたミオグロビンという物質が腎臓につまり、腎不全を起こすことが知られています。
尿が他の色の場合は?
ここまで、尿の色が濃くなった場合、茶色くなった場合について説明しましたが、
他に尿がピンク色だったり緑色になることがあります。
それについても簡単にご説明します。
1、尿がピンク色になる
これは「血尿」のこと。
目で見てもわからず、検診で診断されることもありますが、
尿がはっきり赤や黒っぽい場合は、体内でかなりの出血が起きている証拠。
主に考えられるのは、尿路結石。
腎臓・尿管・膀胱などに小さな石が出来ることで起こります。
動物性脂肪の取り過ぎや多量のアルコール摂取が原因とされています。
脇腹から背中にかけて強い痛みがある時は、まずこの病気を疑って下さい。
ほかに、尿路感染症の場合もあります。
膀胱炎が主で、体の抵抗力がなくなっている時に膀胱に細菌が繁殖して起こります。
その他、腎細胞がん、前立腺がん、腎盂腎炎、腎梗塞なども考えられますので、
すぐに病院で精密検査を受けるようにして下さい。
2、尿が緑色になる
麻酔薬や漢方薬、潰瘍治療薬には緑色の色素を含むものがあるので、
その色が出ていることが殆どです。
ですが、まれに緑膿菌という緑色の色素を持った菌が原因の膀胱炎になったり、
閉塞性黄疸によっても緑色の尿になる場合があります。
特に薬を服用していないのに尿が緑色になった時は、検査が必要です。
尿は健康のバロメーターです。
上記の諸症状のほか、尿が殆ど、あるいはまったく出ない、出にくい、
睾丸が痛い、排尿の時痛みがあるなどの場合、何らかの病気が隠されている可能性があります。
腎臓障害から一生透析をしなくてはならなくなってしまう場合もあるのです。
躊躇せず、泌尿器科や内科で検査を受けるようにしましょう。
関連記事
-
風邪に効く栄養ドリンクは何?薬と併用しても大丈夫?
風邪を引いたらしい…でも会社を休めない、 家事をしなくちゃ…そんな時、市販の栄養ドリンクで早く治せ
-
糖質制限で昆布はダメって知ってた?昆布だしや昆布つゆはどうなの?
糖質制限ダイエットは「糖質」をできるだけ抑えるダイエットです。 そのため、糖質に対して非常に神経質
-
画期的な布団乾燥機!象印スマートドライの凄さ
寒い冬は、ひんやりと冷たくなった布団に足を入れるのが億劫ですね。 そんなとき、布団乾燥機にかけ
-
キュウリの酢の物をアレンジ! いろんなレシピをご紹介!
夏は暑さで食欲もなく、冷たい食べ物を欲していませんか?野菜の中でもキュウリは夏に食べたくなりますよね
-
便秘の原因と解消法を紹介。
便秘に悩んでいて市販の便秘薬や下剤に頼ってしまっている方も多いのではないでしょうか。 けれど薬に頼
-
インフルエンザ予防に最適?サージカルマスクの正しい理解と使用法
寒くなると気になるのがインフルエンザの流行ですね。 小さなお子さんやお年寄りのいるご家庭では、
-
桜餅は食べたいけどカロリーは心配! 明日香食品の和菓子はどれくらいある?
春と言えば桜餅!!花より団子!という方も多いでしょう!美味しいものを食べると幸せな気持ちになれますよ
-
さんまの内臓は栄養豊富! 食べないのはもったいない?
あなたは、さんまの内蔵を食べる派ですか? 食べない派ですか? だいたい魚の内蔵って調理前
-
紙パック式?サイクロン式?よくわからない人のための掃除機の選び方
家電量販店の掃除機コーナーでは、サイクロン掃除機を目にする機会が増えました。 従来の紙パック式
-
口臭の予防と対策、意外に簡単にできます。
口臭がないか気になってしまったことは誰しもあるのではないでしょうか。 人と接するときの大切なエチケ