シャガールの生涯、意外な3つのポイント
画家のシャガールといえば、天使がふわふわと飛んでいるような、
やさしい色使いの幻想的な絵が有名です。
絵の意味が比較的わかりやすく、物語を見てとれるために、日本ではとても人気が高く、
またベラという妻を一生愛し抜いたというエピソードを有するために、
特に女性から圧倒的な支持を得ています。
ところが、シャガールのノスタルジックで幸せそうな絵は、
彼の人生が幸せに満ちていたから生まれたというわけではありません。
人生を追っていくと、これまであまり知られてこなかった意外な生涯が明らかになります。
意外性1)プリミティズムとの出会い
シャガールは19世紀末にロシアの街に生まれたユダヤ系ロシア人です。
美術学校に進んだ時、
ロシアでは西ヨーロッパのゴーギャンやゴッホの影響を受けた
プリミティズム(原始主義)への傾倒が見られ始めていました。
ブルジョワ的な芸術に反発し、
ロシアの大地に根付くような民族的な根源性を見出そうとする運動です。
影響を受けたシャガールは、落書きやオモチャといった日用品などをモチーフに、
鮮烈な色彩や歪な遠近法を用いて、荒々しいタッチで絵を描くようになりました。
意外性2)パリへの留学
シャガールは美術の勉強のためにパリに渡ります。
そこで西欧フォーヴィズム(野獣派)の影響を受け、
明るく大胆な色使いの絵を描くようになります。
また、キュビズム(立体派)を独自に昇華させ、
心理イメージを基調とした時間や空間の枠を超える幻想的な空間を創造していきます。
これらがロシアの土着的なルーツと融合し、画風を確立させることになりました。
意外性3)アヴァンギャルドとの別れ、妻の死
ロシアの前衛主義の作家たちとの親和性の高かったシャガールは、
ロシア帰国後、革命政府の要請によりロシア・アヴァンギャルドを推進する美術学校を創立します。
しかし彼は方向性の違いから離脱を余儀なくされ、故郷を去り再びフランスへと出国、
そこでも大戦の余波で再び亡命、結局アメリカに渡ることになります。
妻を亡くして以降、自分だけの独自の絵画の世界に没頭するようになります。
まとめ)
私たちがよく目にするシャガールのノスタルジックでファンタスティックな作風は、
時代の先端の影響を強く受けた末に出来上がったものです。
後期に描かれた幸せそうな絵は、異国の地でひとり、
自らの記憶から呼び起こした友人たちや妻、故郷の風景の数々なのです。
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